ゴールデンウィークの終わりに福島県立博物館で開催された、「雪国ものづくりマルシェ2022 春」へ行った際にお話しさせていただいてから気になっていた宿がいくつかありまして、県民割プラスも終わってしまいそうで、ここはと思い立って、熱塩温泉ふじやさんに泊まってきました。
お世辞などなにひとつなく、最高でした。
以前、バイクで宿のあたりまで行ったことがあって、雰囲気の良さは知っていたのですが、いざ泊まってみると、その良さを実感することができました。
何が良いって、言葉にするのは難しいのですが、「実家以上に実家」。
画に描いたような実家でした。
いや、実家に温泉はないですし、出たとしてもラジウム系の冷泉なので、そもそもずいぶんと違うんですけど…そういうところをあれこれ踏まえても、実家以上に実家でした。
それくらい、のんびりできました。
こんなにのんびりした宿は、初めてじゃないでしょうか。
自分の意思でテレビもつけることは、一度もなく。
着いて、散歩をして、ちょっと地酒を買いに車で出かけて、温泉に入って、地酒を飲んでのんびりして、美味しい食事を食べて、温泉に入って、読書をして、うたた寝をして…最高です。
ある意味では、本当の贅沢とはこういうことかもしれません。
今回予約した部屋は、山羊の見える部屋。
これだけで、もう最高。
部屋からぼんやりながめてると、ヤギが出てきて、ふらふら歩いたり、何か言ってたり。
部屋からヤギの名前を呼ぶと、返事したりするわけです。
画に描いたようなのんびりタイム。
実に贅沢ですね。
どのヤギがどの子か、素人目にはまったくわからないのですが、名前を呼ぶとどれかが反応します。
かわいい…。
ちなみに朝は、エサを与えるところも見ることができます(エサ与えてみたかった)。
チェックインの時に、フロントの方からうかがったところによると、大きな杉の木のある神社、お寺、日中線の駅の跡が見どころらしいので、それぞれ散策してきました。
これもすごく良かったです。
まず杉がでかい。
とにかくでかい。
神社があるので、お祭りもあるのかなと尋ねたところ、少子高齢化やコロナウイルス感染症の影響で、あまり活発でないとのこと…いろいろ残念です。でも、何かのきっかけで、またやれると良いなと思いました。
なんだか、すごく懐かしい感じのする温泉街なのですよね。
このまま終わって欲しくない。
日中線の熱塩駅跡も良かったです。
公園になっていて、のどかで、静か。
サイクリングロードもあるので、自転車で来ても良いし、バイクで来ても良いし、もちろん車で来ても良いし、公共交通機関で来てものんびりできて良いでしょう。
周辺には田畑が広がっていて、この日は時々鳥の声と、かえるがげこげこ鳴いてました。
過ごし方、時間の使い方が贅沢だなぁ…
それとこのあたり、いくつも湧き水があります。
水系的に飯豊山なのか磐梯山なのか、わからないのですが、さわると冷たくて、すごく気持ちよかったです。
駅が昔からこの外観なのかは分かりませんが、すごく良いですね。
そして宿に戻り、肝心の温泉です。
このあたりの温泉はナトリウム塩化物強塩温泉。
飲用もできるみたいで、浴室にコップが置いてあったので少し舐めてみると、かなりしょっぱい。
でも、それが効能のような気がしました。
そして、すこぶる熱い。
でも、この熱さが良い。クセになる熱さです。
何度も出たり入ったりを繰り返してしまいました。
露天風呂好きには、露天風呂があって欲しかったのですが、ふじやさんにはなし。
でも、露天風呂がない宿って、昔からある宿の典型的なところなので、それがまたいいなぁ、満たされないところも楽しいと感じてしまうあたりが、久しぶりに実家っぽくて良いです。
夕飯は、自家製と地場産野菜をふんだんに使った料理。
なんて贅沢なんでしょうか。
でも、この宿の本気はここからです。
春の野菜とブタのしゃぶしゃぶ。
しかも地場産と自家製。
これがまた、美味しい。
のんびり食べて、食べたらもちろん地酒です。
会津というと地酒ですけど、いわゆる会津というと会津若松。
でも、喜多方には10を超える酒蔵があって、それぞれ個性があって、美味しいのです。
食事のあっさりさにあった、旨みはあるけどくどいと感じさせない酒のチョイスがまた良いですね。
どれもこれも美味しい。
野菜が美味しいと感じるのは、よほど美味しい野菜を食べないと、なかなかかんじることがないわけですけど、これは美味しい。
主食はタケノコご飯。
目の前で炊き上げられます。
宿の方に聞いたところ、もうシーズン的には終わりなので、そろそろ最後かなとのことでした。
夕飯で何より美味しかったのが、野菜を炊いたものです。
どこからどこまでも旨みのかたまり。
もちろん出汁は別でしょうけど、野菜の旨みがガンガン攻めてきます。
本当に美味しい野菜は、肉とか魚とかに負けないどころか、それ以上に印象に残るものなのですね。
そしてデザートは若女将お手製プリン。
贅沢すぎます。
温泉にもう1度入りたいなぁ、と思っていたのですが、部屋に戻って横になってぐーたらしていたら、いつの間にか寝落ちして、これはいかんと布団に入って寝ました。
それくらいリラックスしてたんでしょうね。
でも、この宿の本気はまだまだ続きます。
翌朝の朝食が本当に美味しかったです。
おかずの美味しさはもちろんなのですが、特筆すべきはご飯の美味しさ。
今まで泊まった宿の中で、最も美味しかったように感じました。
米が立っていて、味も香りも最高。
噛めば噛むほど美味しいご飯は、これまでも食べてきましたが、その中でも最上級だと思います。
そりゃ、おかずが沢山でも、おかわりしてしまうわけです。
ふだんの朝食はゆるいのですが、気がついたら3杯もおかわりしてしまいました。
でも、それくらい何もかもが美味しい。
こちらはおかずではないですが、若女将お手製グラノーラがまたいい。
甘すぎず、くどすぎず、しつこくない。
建物は、最近流行のラグジュアリー感があったりするわけではないのですが、そういった面も含めて、実家以上に実感を感じさせるような、何から何まで贅沢な宿でした。
また行きたいかと聞かれたら、ぜひまた泊まりたい宿ですね。
たまたまお話しした宿泊者の方は、急遽2泊3日にしたそうです。
気持ちがすごく分かります。できれば、自分も次は2泊3日で。
最後にこっそり書くと、部屋にあったお菓子が最高でした。
たしかに、近隣のお土産屋さんでも買うことのできるお菓子があるのは良いことだと思うのですが、こういう小さなところがすごくうれしい。
また行きたいなぁ、と思う源泉ですね。
泊まらなくとも、フロント前で買うことはできます。
でも、この実家以上に実家にいるような感じは、ぜひみなさんに味わっていただきたいです。
向かいにあるお寺では、禅体験ができるらしいので、次回2泊3日なら、ぜひ体験してみたいです。
あと…グラノーラもマフィンも美味しいので、ぜひ食べてください。
そして温泉も!