初夏の早池峰山とハヤチネウスユキソウ

以前から歩いてみたいと思いながら、行くことができずにいた早池峰山を歩くことがようやくできました。

岩がそびえ立つような山頂部がひときわ目立つ、独特の風景に惹かれたのです。

この独特の風景は、早池峰を構成する岩石が4億年以上前にできた旧くて固いこと。
かんらん岩や蛇紋岩というマグネシウムや重金属を多く含んでいる岩石によることが、三陸ジオパークWebサイトで紹介されています。

よく知られたハヤチネウスユキソウをはじめとした希少な高山植物が早池峰でよく見られるのは、この岩石の固さや成分に加え、西にそびえる奥羽山脈と東に広がる太平洋がもたらす気候によりもたらされたのです。

登山シーズンとなるこの時期の土日、早池峰の登山口には下の集落からシャトルバスを使って向かいます。運賃は前払のチケット制です。往復で2,000円。片道で買うこともできますけれど、駐車場から登山口まで結構な距離があるので、往復で買うのが良いと思います。

登山口に着き、歩きはじめるとしばらくは樹林帯です。
ほんの少し歩くだけで森林限界を超えて、早池峰の本体を見ることができます。
この森林限界の低さも、早池峰の地質と気候によるものです。

この先は、岩がゴロゴロとしたガレ場と小さくなった石のザレ場、そしてハシゴ場を一目散に登っていくことになります。

その道中の登山道では、たくさんのハヤチネウスユキソウを見ることができました。

はじめて見たハヤチネウスユキソウ。
それはもう見事で、風にゆられる様子はかわいらしいものでした。

この景観に植物、この景観をつくった珍しい地質。
「石っこ賢さん」と呼ばれた詩人の宮沢賢治が何度も訪れた理由が、よく分かりました。

山頂近くではヒメコザクラやヤマザクラも。
高山の春の終わりと、夏のはじまりを楽しむことができました。

山頂では下界の暑さを忘れるような清々しい中でお昼を食べ、早池峰剣ヶ峰に立ち寄って戻ります。

早池峰の山頂から早池峰剣ヶ峰の山頂へは、アップダウンがありますけれど、稜線歩きを楽しむことができます。稜線は切り立っているので、気をつけて歩くのはもちろんですが、風の強い日は行かないという決断も大事です。

行きも帰りも晴天に恵まれ、本当に良い山歩きでした。

なんでも、歩いたことがある人によると早池峰はガスっていることが多く、こんな晴天に恵まれるのは珍しいのだそうで、とても運の良い日に歩くことができました。

下には広がる遠野の山野、遙か彼方にはおそらく岩手山も見える、とてもいい山です。
また行きたいと思わせるような、すばらしい山歩きでした。